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電子マネー「もしも」の不安 

 日本に紙のお金が登場したのは1600年ごろ、伊勢山田地方(現三重県伊勢市)の商人たちが「山田羽書(はがき)」という名で発行した銀貨の預かり証が最初とされる。縦長でお札(ふだ)のような形だが、いつでも銀貨と引き換えられる信用があったので、江戸時代を通じて使われた。

 その後、各地の大名が領内で通用する紙幣として発行した藩札はうまくいかなかった。藩財政水増しのため、しばしば通用価値が切り下げられたからだ。ある日突然、価値が下がるようなお金は誰も持ちたくない。

 紙幣の登場から約400年。今や見えないお金が飛び交う時代になった。「エディ」「スイカ」といった電子マネーは、お金の姿は見えなくても、前払いした金額をいつでも額面通り使える信用が肝心だ。

 店のレジや改札機の端末に1秒ほどかざせば支払いが済む。法律の定めがないので厳密には「貨幣」でないものの、速く、便利な決済手段として爆発的に利用が増えている。

 代表的な電子マネーには、カード内のICチップに入金額を記録するタイプと、個人の入金データを運営会社のコンピューターで管理するネットワーク型がある。

 ICカード型で、エディの発行枚数は3000万枚を突破、JR東日本のスイカは1686万枚(電子マネー対応、4月末)、4月から始まったセブン&アイ・ホールディングスのナナコも100万枚を超えた。

 ネットワーク型はインターネットを通じてオンラインゲームを買ったり、音楽をダウンロードしたりする時に残高から購入額を差し引いて決済する。この型の代表的な電子マネーを発行するウェブマネーの年間売上高は220億円超という。

 野村総合研究所によると、国内の電子マネー決済市場規模は06年度の1800億円から07年度は6900億円になるという。買い物した分のポイントが付き、それを現金分に振り替えられる仕組みも広がっている。

 ただ、今のところ電子マネー全体を規制する法律はない。普及の速さに法整備が追いついていないのが心配だ。

 ICカード型の運営会社はプリペイドカード法により、未利用残高の半額以上を財務局に供託している。破たん時に払い戻しが保証されているのは、この供託金の範囲までだ。

 ネットワーク型には前払い金を保護する仕組みはなく、破たんしたらお金は戻らないかもしれない。外部からの侵入やシステム障害で金額情報が消えたらどう弁済するかも論点だ。

 1990年代に政府が行った電子マネーの実証実験は利用が少なく失敗で、法整備の議論も先送りされた。電子マネーを紙幣のようにだれもが持つ時代が近づいている。安心して使い続けるには、利用者保護の仕組みが今のままでは心もとない。(経済部次長 藤本 昌弘)

(2007年6月4日読売新聞) 

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