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修復治療に光

 人間の目の角膜(黒目)に「前駆細胞」と呼ばれる未分化の細胞があることを、東大病院の山上聡(さとる)助教授らの研究チームが発見し、米眼科専門誌(電子版)で発表した。

 これまで不可能だった角膜の深い部分の傷を修復し、視力を取り戻す新しい治療法の開発が期待される。

 角膜の最も内側にある内皮細胞は、一度傷つくと二度と再生しない。このため、内皮細胞に変化する前の段階にあたる前駆細胞はないと考えられていたが、山上助教授らは、角膜に前駆細胞の固まりがあることを発見した。

 高齢などで角膜の内皮細胞が傷つき失明すると、死んだ人から採取した角膜の移植治療が必要になるが、移植を待つ人に比べて提供者の数が少なく、拒絶反応が強いなどの欠点がある。

 前駆細胞から内皮細胞を大量に培養して移植する技術を確立すれば、一つの角膜から多くの人の視力を回復する治療が可能になるほか、拒絶反応が少なく、内皮を移植するだけで傷口が小さい手術も可能になるという。山上助教授らは、すでに前駆細胞を移植して角膜の傷を治す動物実験を進めている。

(2005年5月19日  読売新聞)

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